| 語り |
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話は変わってこちらは八重垣神社に近い辻道。
犬山道節が単身、老杉城に乗り込んだあと、残るは、犬飼現八。しきりに何やら作ってる。
何だろうとのぞいて見るまでもなく・・・乳母車みたいだね、これは。
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| 現八 |
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ようし、これで出来たぞ！
おーい、お勝来てみろやーい。
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| お勝 |
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ああいい。
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| 語り |
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呼ばれて辻堂の中から姿を現すのは、みなし児となったお勝。
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| お勝 |
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おじさま、これはなに？
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| 現八 |
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お前を乗せるんだよ。そしておじさんがあとを押す。
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| お勝 |
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わたし、じぶんであるけますゥ。
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| 現八 |
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そりゃ解っている。だがな、お前の手を引いて歩いちゃ、鰐崎の手下に見つかって、面倒なことにもなる。
だからほれ、おとなしくこの車に乗って・・・
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| 語り |
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無理矢理乗せる乳母車。
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| 現八 |
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そうして・・・ほれ、男の子のカツラをかぶって・・・
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| 語り |
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スッポリ、かつらをかぶせれば、ハテどっかで見たような？
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| 現八 |
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名前は・・・そうさな 大五郎。 |
| 語り |
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そりゃ、行き過ぎだよ、現八さん。
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| 現八 |
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勝五郎としよう。いいな、わかったな勝五郎。
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| お勝 |
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ああいい。
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| 現八 |
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ようし、ではと
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| お勝 |
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おじさま、これからどこに行くのやら。
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| 現八 |
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老杉城下へ一人で行った道節が気がかりだ。
かといってお前一人、こんな所に置いてはゆけぬ、これは苦肉の策なのだ。
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