新八犬伝　第166話

ひな衣		南無あみだ仏！
語り		グサリ突き刺す乳の下、あっと思わず声あげてかけよる犬村角太郎。ところが！　　真っ赤な血汐と共に、傷口から飛んで出たのは珠一つ。さるほどにひな衣は虫の息
ひな衣		角太郎さま・・・
語り		差し出す手をばしっかと握り
角太郎		ひな衣！
語り		ひな衣、角太郎、共に足尾に生まれて育ち幼なじみのあの山この川手を取り合ってふたァりで春はたんぼのれんげ草　摘んでつないで首かざり秋は川原のまんじゅしゃげ　一つ手折って髪飾りまだあげそめぬ前髪に　いつか芽生えた恋心机並べて寺子屋で　読み方書き方つづり方　教えられたり教えたり毎日会っていながらも　思いのたけがいえなくて書いてまた消すラブレター思い思われ恋こがれひなにはまれなひな衣と　かくれもないよな角太郎親も許したいいなずけ幾久しく幸せに　くらせるだろうと思ったにあゝ　今はもう何もかも　遠い昔の夢ものがたり好事魔多しとは　このことか因果は巡る　糸車九ちゃん純情詩集より
角太郎		私は知ってしまった。父、赤岩一角が化け猫だということを。この私にもその血が、化け猫の血が流れているに違いない！こんな事を愛しいひな衣に言えようか！
語り		悩みに悩んだ角太郎、苦しみぬいたその末に
角太郎		家を出よう、世を捨てよう　ひな衣と別れよう
ひな衣		どうしてなの？　どうして、どうして・・・
語り		すがって泣くひな衣に、何も言わずに角太郎は家を出た、世をすてた、ひな衣を袖にした
角太郎		好きだからこそ、捨てねばならぬ。　あゝ・・・
語り		千々に乱れる男の心、なにがなにしてなんとやら。この世はめぐる風車、ひたむきな女の一念、その身をぎせいにひな衣は、とうとう愛する人とそいとげた
ひな衣		角太郎さま・・・
語り		さけびつつも結ばれて、すぐに旅立つ死出の旅
角太郎		ひな衣・・・ひな衣！！
語り		呼べど答えずガックリと、ひな衣息をひきとった。さよならだけが人生か
角太郎		（男泣き）

166話は前週の場面のおさらいから始まっています。

角太郎の礼の珠が出現、八犬士であることがわかるものの、
愛するひな衣との悲しい別れの場面です。（シナリオより）

そうした悲しい場面ではありますが、
この「九ちゃん純情詩集」、
九ちゃんの講談調の語りで是非聞いてみたかったですね。

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