皆さんのことは辻村さんがご存知で、先日ジュサブロー館に伺った折、
辻村さんからのお話に・・・ファンの集いに是非に、ということで、
皆さんにお会いできる事を楽しみにこちらへ参りました。
３０年近くも、新八犬伝のファンの皆さんに驚き、且つ感激しております。
はじめまして、どうぞ宜しく。

２年間続いたＮＨＫの人形劇、新八犬伝は人形の出演数も多く、
３００体〜４００体ほどで、人形の声は、男優５人、女優３人、計８人で
演じ語ったのです。
メインの役以外は、その時々それぞれに配役され、
難しくも、楽しく、面白く演じました。
８人のチームワークの素晴らしさ、毎週の録音日は実に和気アイアイ、
現在に至っても新八犬伝のＯＢ会と称して親交を深めています。

さて、私は玉梓、亀篠、熊笹等、悪役の声は一手に引き受けたみたいで、
たまにうるわしき美女の役が回ってくるとそれは嬉しかったですね。
笑い方もオホホホホ･･･。

新八犬伝で、私は初めて人形劇の声をいたしました。
第一作目から玉梓さんが出てきて、殿様から首をチョン切られ、
「憎っくきは里見義実〜！ 孫子の代まで祟ってやるゥーーー！」
オッカナイ怨霊となって大勢の人間達を苦しめるんですから・・・、
業火の如きエネルギーの恨み節はあのせりふ一言でも疲れました。
体調の悪かった時、貧血を起こして、医務室でした。

そうそうビックリしたことがあります。
家の近くで子供達の遊んでいる声が聞えて・・・そのうち男の子が、
「我こそは〜玉梓が怨霊〜憎っくきは・・・祟ってやるぅ〜」と叫んでいるの。
２階の窓から覗いてみたら、なんと、かくれんぼゴッコだったの。
玉梓の怨霊が鬼で、ひとくだり唸っている間に、隠れるの。鬼は再び唸りながら隠れた子を探し始めるの。
「本物の玉梓は（私は）ここに居るぞォ・・・」と心の中で叫んでソッと窓を閉め隠れたの。ウフフフフ・・・。

それから、悪女舟虫（人形）がお出ましになった時は、懐かしかったですね。
何故ならずーっと前に私は、新東宝映画「妖雲里見快挙伝」で舟虫を演じたの。
まだ年齢も若かったし、芝居も未熟だった私は、一生懸命悪女役をやり、八犬士や伏姫を苦しめ。
思い出すと赤面の至り・・・。

ともかく日本の文化の香りの深いＮＨＫの人形劇、新八犬伝は大勢の方に愛され激賞されて、
私のとっては、大切な俳優の仕事でした。


２００３年１月２５日、池袋新文芸坐･東宝映画「新八犬伝」の上映会を楽しみにしています。

このレポートは阿部寿美子さんご本人に原稿をいただいたものです。
阿部寿美子さんについては、作品解説の出演者紹介に簡単なプロフィールがありますので、どうぞご参照ください。